採光計算

住宅居室の採光の計算方法とは?【図で詳しく解説】

建築確認申請の採光計算ってややこしい
どのように考えたら良いのか教えて欲しい
申請memoや法令集、参考書をみても理解できない

僕自身、採光計算が一番申請でも間違ってました。それだけ採光計算はややこしいです。しかも検査機関によっても指摘されることが違ったりと、混乱するんですよね。参考書や法令集は見ても理解しづらいし。。

このようなお悩みをこの記事では解決できる内容となります。

わかりやすく図を用いて、きるだけ噛み砕いた内容となりますので、参考書等よりかは理解しやすいかと思います。

そんな私が詳しく解説していきます。

  • 採光計算の計算式を理解
  • 2室共通
  • 天窓の計算
  • 窓の外側に縁側がある場合
  • 境界線が斜めの場合
  • 境界線が折れ点がある場合
  • 道路境界線の場合
  • 隣地・道路境界線の向こう側が河川・公園の場合

こういった内容で解説していきます。

採光の計算を理解

採光計算はバルコニーがあるの場合採光計算でも紹介しましたが、こちらでも記述いたします。

採光の計算式

それではここから採光の計算方法を解説していきます。採光の計算式は下記の通りです。

窓の面積×採光補正係数≧居室の床面積×1/7

1/7はあくまでも住宅の場合です。ただ、ほとんどが1/7ですが、病院や診療所などは1/10保育園や学校等は1/5で計算する必要があります。(緩和あり)

  • 窓の面積
  • 採光補正係数
  • 居室の床面積

順に見ていきましょう。

窓の面積

窓の面積は簡単です。窓の高さ×横幅で計算できます。例えば掃き出し窓の横幅が1.8m、高さが2.0mであれば窓の面積は3.6㎡となります。

窓が複数あると、採光計算にはプラスになります。

居室の床面積

先に居室の床面積を解説します。

居室の床面積は柱、壁芯で取り、クローゼットやキッチン・廊下・PS等を省く面積となります。(省く場合は明確に分かれている必要があります)一体空間であれば、残念ながらキッチンなど全てを面積に含めないといけません。その辺りは検査機関にご相談してください。あくまで居室の部分のみの面積になります。

僕がしていたのは、まず全体で面積を含めて、その後に採光が足りなければ、面積で省けるところがないかを見てました。PSなんかは面積にそこまで影響しないので、気にせず面積に入れてました。

さそり

わざわざ面積に入れずに計算する手間を考えると、大変ですからね

採光補正係数

採光補正係数とは、採光計算に乗ずる値で用途地域によって変わります。

ざっくりと分けると

  1. 住居系
  2. 工業系
  3. 商業系

となります。表でまとめましたので、ご参照ください。

住居系第1種低層住居専用地域、第2種低層住居地域、
第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、
第1種住居地域,第2種住居地域、準住居地域
工業系準工業地域、工業地域、工業専用地域
商業系近隣商業地域、商業地域、用途地域指定のない地域

計画地がどの用途地域になるのかをチェックして、その用途地域の計算式にはめ込んでいくという流れになります。用途地域ごとの計算式を解説していきます。

採光補正係数の求め方

住居系D/H×6-1.4
工業系D/H×8-1.0
商業系D/H×10-1.0

D:開口部から境界線までの水平距離
H:直上部の建築物の部分から開口部中心までの垂直距離

こちらが採光補正計算の求め方です。

  • 天窓の場合は、算定値の3倍の数値となります。
  • 開口部の外側に90cm以上の縁側等がある場合は、算定値の0.7倍の数値
  • 数値が3を超える時は、数値は3とする
  • 逆にマイナスになる場合は0になり、算定できない。
  • 道路側は緩和があり、補正係数1以上となります。1でクリアするのであれば補正計算しなくてOKです

ここまで理解できなくても、大丈夫です。下で例を踏まえて解説していきますから安心してくださいね。

この内容を、先程の上にて説明しました採光計算の式に当てはめていく感じです。これが採光計算となります。

ちなみに、計算を見てわかる通り、住居系が一番厳しい基準となります。採光をしっかりと入れた設計にしなさいよってことですね。

さそり

計算の説明はここまでです。ここからか上記の計算に加えてプラスアルファの内容となります。基本の計算を覚えておけば、下記の内容も簡単に計算できるようになりますので、何度もみて理解してくださいね。

二室共通

採光計算では2室を1室とみなしてくれる方法があります。

それは、「ふすまや障子等で仕切られた空間」である事です。この場合、採光に必要な窓が1室しか取れていなくても、2室を1室として見る事ができるのです。

ふすまや障子なんて、今時使わないからこんな文言は無視して大丈夫です。通常の建具で仕切られている2室が奥の部屋(採光窓が取れない部屋)の幅よりも建具の幅が1/2以上あれば2室を1室とみなして計算する事ができます。部屋の幅「2」に対して建具の幅が「1」以上あればOKです。

分かりづらいため図で説明します。

この図で奥の部屋の幅と建具の幅を見てください。奥の部屋の幅は2,500mmで建具の開口部の幅は1,300mmです。開口部の幅を2倍すると部屋の幅よりも大きくなりますよね。この場合は2室を1室でみる事ができるのです。ちなみにここでの寸法は有効寸法で測ります。

窓の面積×採光補正係数≧居室の床面積×1/7

この採光計算の「居室の床面積」の部分が2室の合計の数値となります。

ちなみに採光だけでなく、換気も同様に2室を1室としてみることができます。

天窓の計算

天窓の場合採光には有利な結果になります。算定値の3倍の数値になるので、通常の採光計算を3倍で計算します。

計算した採光補正係数に3をかけるだけです。

ただし、天窓の上部に庇や軒が掛かった場合は、掛かった分だけは採光をみることができませんので注意です。

天窓の場合は
窓の面積×採光補正係数×3≧居室の床面積×1/7

窓の外側に縁側がある場合

縁側があって居室に続く場合、縁側の幅が900mm以上であれば、採光補正係数かける0.7で計算します。

縁側がある場合は
窓の面積×採光補正係数×0.7≧居室の床面積×1/7

ちなみに、900mm未満の縁側の場合は通常通りの計算式となります。要は0.7掛けしなくてもいいです。
逆に2mを超える場合の縁側は縁側としての計算でははく、2室共通として、計算することが望ましいです。

縁側の幅は内法寸法で測るのが一般的です。ただし特定行政庁によって異なりますので、確認は必要です。

境界線が斜めの場合

境界が斜めになると、境界までの距離がどこを基準にするかの問題だけで、そのほかの計算は変わりません。割と簡単です。図でご説明します。

境界が斜めの場合は上の画像のようになります。中心からの距離がDとなります。あとは通常の計算と同じです。

境界が折れている場合

境界が折れているとどこで採光をとっていいのかわからなくなりますね。そんな時の方法がこちらになります。

この場合は少し手間になります。折れている点で窓を分けます。その中心線がDの距離となります。この場合は採光補正計算を2通り計算する必要があります。なので手間になるのです。

  1. 折点を起点に右側左側と分けて計算します。
  2. 分けた窓の幅の中心から境界線までの距離で採光補正係数を求めます。
  3. それぞれの採光補正係数が出たら、それぞれの窓の幅で面積を求めて採光計算をします。
  4. 採光計算結果を合計します。
  5. その合計が居室の1/7以上あればクリアです

このような流れで進めていけばOKです。

道路境界線の場合

道路に隣接している採光計算は下の図のようになります。

道路の反対側の境界線までの距離をみなし境界としてみることができます。なので、有利にはたらきます。

ただ、道路境界線の場合は最低でも「採光補正係数が1」あります。

もしも1で計算してクリアできるのであれば、補正係数の計算式は必要なくなります。わざわざ書く必要もありません。逆にいうと書いてしまいますと、検査機関の方がチェックをしないといけないので、手間になります。できるだけ、計算を少なくて済むように行うことが大事になります。

計算はできるだけシンプルにして、しなくていい場合はしないこと。検査の量が増えるとその分済証の発行が遅くなります。

隣地・道路境界線の向こう側に河川・水路・公園がある場合

隣地や道路境界線の向こう側に河川や公園があると、緩和が適用されます。

ただし、全てにおいて明示が必要となります。ゆるい検査機関であれば、不要な場合がありますが、大抵の場合は明示を確認申請に添付する必要があります。なので、役所や土木事務所に明示の写しをもらいましょう。写しは大抵の場合3週間ほどで発行してくれます。確認申請に間に合うように手配をしましょう。

この手配ができて初めて緩和が適用できます。

もしも緩和が必要なく採光がクリアできるのであれば、わざわざここまでする必要はありません。

河川・水路・公園の緩和計算

河川や水路、公園の幅の1/2だけ距離採光補正係数の計算式に含める事ができます。

例えば上記の画像の場合は、河川や公園の全幅の半分の位置に境界線があるとみなす事ができます。距離が緩和されますので、有利にはたらきます。

河川や公園の先に道路がある場合

河川の先に道路がある場合は道路を越えた境界側がみなし境界線となります。なので、ここから距離をとる事ができます。この場合は採光補正係数が余裕で3とれそうですね。しかし余裕だからといっても計算式は必要ですので、しっかりと図面に記載しましょう。

このように採光はたくさんの緩和要素がありますので、設計段階で、できる限り活用しましょう。また、確認申請を提出するときには、分かりやすく計算をすることを意識していきましょう。そうすることで済証が早くおりる可能性が出てきます。計算ミスはよくしてしまうため、できる限り何度もチェックして申請に挑みましょう。

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